設計者上がりの建築コンサルタントブログ

建築コンサルタント、プロジェクトマネージャー、コンストラクションマネージャーの視点

安藤忠雄展-挑戦- @国立新美術館

世間で最も名の知られた建築家である安藤忠雄氏の過去最大規模の個展であることから、休日は絶対に混雑しているだろうと予想して躊躇していましたが、思い切って行ってきました。10時の開館即入場を狙って9:35頃に美術館に到着。

既に「安藤忠雄展」の入口には行列が出来ていました。 チケット未入手の列は左側、入手済みは右側の列。私はオンラインチケット(スマホ入場)を入手済みだったので右側の列に並びました。

入口の様子

9:55に入場開始となりました。 インターネットにて "音声ガイドは安藤さん自身の声によるものでとても良いので是非借りるべし" との情報を得ていたのでガイド端末を借りました。(¥550) 展示内容は ・Section1 原点/住まい ・Section2 光 ・Section3 余白の空間 ・Section4 場所を読む ・Section5 あるものを生かしてないものをつくる ・Section6 育てる

展示内容で撮影可能なのは、Section2の屋外展示:光の教会インスタレーションとSection4の直島の一連のプロジェクトのインスタレーションのみ。

光の教会インスタレーションは混雑しそうだったので、まずはそちらへ直行。

本当に実物大の「光の教会」がありました。 ネット情報によれば、新美術館の増築扱いとして確認申請を出して建設したとの事。

内部には既に一番乗りの人達が。

入口側の見返し

安藤さんは光の教会の設計・建設時において十字のスリットや壁の開口部には「光や風といった自然の断片を引き込む」という考えからガラスを入れたくなかったそうだ。これは確かにTV番組か何かで、スタッフに「施主を説得してこい。」と安藤さんが言っているのを観た記憶がある。今回のインスタレーションではそのコンセプトを踏襲して開口部にはガラスが入っていない。よりコンセプトに近い空間体験ができるようになっていると言えるだろう。

「なるほど〜っ」と空間体験の感動が落ち着いて来た時に、何かちょっと鉄筋コンクリート造の空間らしくない違和感を感じた。。。。

天井を見てみると。。。。 なんか、ビスみたいなものが見えるぞと。。。ボードの突き付けっぽい。

壁もよく見ると。。。。 打継目地がやけに浅い。型枠の目地に隙間が見える。壁を叩いてみたら明らかにRC造の壁とは違う乾いた響き。と、言うことはこの建物はRC造ではなく鉄骨造で、壁はPC版による乾式工法か?

外壁を改めて見直したら、、、 やっぱり。PC版の小口の厚みが見えています。

しかし、リアリティが求められる自立壁や十字のスリット部の小口はコンクリート打ち放し補修塗材によってうまく処理してありました。(ちょっぴりヘアークラックが出ていましたが。)

期間限定の企画展示の一部であるインスタレーションのため、解体の事も考慮しなければいけないので鉄骨造にせざるを得なかったのでしょう。 しかし、よくぞ鉄骨造でここまでコンクリート打ち放しの建築を再現したものです。

次に、これも写真撮影OKのSection4の直島の一連のプロジェクトのインスタレーションを見ました。

映像と模型と光の幻想的な演出で瀬戸内の雰囲気を醸し出し、Section4のテーマである「場所を読む」を表現していました。

写真撮影OKの2箇所を先に見てから、最初に戻ってSection1から再スタート。 Section1では時系列順に旅のスケッチや住宅作品などが展示台と壁に展示されているために行列状態での鑑賞となってしまい、一番混雑した場所となっていました。 その他のSectionではここまで渋滞になっている場所は無かったですが、それでもかなりの数の来場者でした。

とにかくすごいボリュームの展示内容でした。1500円払う価値は十分にあると思います。スケッチ・ドローイング、模型、映像の三位一体の展示に加え、安藤アトリエの再現、光の教会インスタレーション、一部の作品に関する実物の図面など盛り沢山の展示により、建築業界ではない一般の人、建築マニアでない人でも業界の人間でも十分堪能できる内容です。

知っている作品の解説は飛ばしたりしつつも全体を一通り見て、2時間10分くらいかかりました。全体をじっくり見るなら3時間くらいはかかるかもしれません。

最後に音声ガイド端末を返却して、SHOPに入ります。

ショップのレジにも徐々に行列が出来つつ有りました。

展示の最後のゾーンで「夢と希望のあるうちは青春。自分や社会に何ができるか考え続けていれば、何歳になっても青春です。私も生涯青春していたい。」という安藤さんからのメッセージが音声ガイドから流れました。

自分も頑張らなければ! と思った次第であります。