設計者上がりの建築コンサルタントブログ

建築コンサルタント、プロジェクトマネージャー、コンストラクションマネージャーの視点

建設業界のDX 重機遠隔操作の将来性

建設重機遠隔操作のオペレーションルームイメージ(画像生成AIによる作画)

 

建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、効率性、安全性、省人化を目指し、建設業の生産性向上および業界の魅力と持続可能性を向上させるための重要な課題となっています。特に注目されているのが、遠隔操作が可能な重機の導入です。この技術は、危険だったり過酷な作業環境を改善し、作業人員の安全や快適性を確保する事で、離職の抑制に加えて若手への技術伝承・技量向上と新規入職者拡大が期待されます。

遠隔操作重機のメリット

  • 安全性の向上: 高所作業や危険物の取り扱いなど、従来は人間が直接関わることで発生していたリスクを軽減します。
  • 作業効率の向上: 遠隔操作により、複数の現場を同時に監視・操作できるため、人員の配置や移動時間および作業時間の削減が可能になります。
  • 専門技術の広範な活用: 専門的なスキルを必要とする重機操作も、遠隔操作によってオペレーターの地域的制限を超えて業務遂行することが可能となります。

遠隔操作重機の事例やPR情報

youtu.be

youtu.be

youtu.be

youtu.be

 

技術的課題と今後の展望

遠隔操作重機の普及には、安定した通信環境の確保や、操作の遅延時間(レイテンシ)の最小化、さらにはセキュリティ対策など、解決すべき技術的課題がまだ多く存在します。しかし、5G通信技術の普及により、これらの課題が次第に克服されつつあります。

今後、AI技術の進化と組み合わせることで、遠隔操作重機がより自律的に動作するようになり、建設業界のDXはさらに加速すると期待されています。これらの進化は、建設現場の生産性を飛躍的に向上させ、業界全体の持続可能性に大きく貢献するでしょう。

遠隔操作の重機がもたらすこれらのメリットは、建設業界に限らず、農業、災害復旧、インフラ整備など、多岐にわたる分野での応用が期待されています。そのため、技術開発や政策の面からも、この革新を支える取り組みを進めていくことが重要です。

今現在では重機の遠隔操作については土木分野の方が建築分野よりも進んでいる様です。土木工事の場合は広範囲な土砂の掘削や運搬のニーズがある事と建築工事ほど細かな動きが必要ない事が遠隔操作に適しているからだと思われます。
建築分野においてはタワークレーンの遠隔操作が大手ゼネコンで実用化されている状況です。

まとめ

建設業界におけるDXの進展は、何よりも生産性の向上による給与向上と作業環境の改善が次世代を担う若者の入職のために最も必要な事だと考えられます。
冒頭のイメージ画像の様に、現在のコールセンターが地方での事業展開で雇用創出による地域振興をしている様に、建設機械のオペレーションセンターが地方に展開できた場合は人材確保の他にBCP対策の観点からもリスク分散として良いのではないかと思います。